全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

08 2018

華アワセ 蛟編 感想

自分はこの作品の初出から知っていたのでこうしてプレイしている今があることがちょっと不思議な感覚。それにしても蛟編の発売が2012年っすか、発売当初は蚊に誤読されていた頃とかがもはや懐かしい。蚊が日本人に馴染み深すぎる漢字なのが誤読の悲劇を招いた……。

そんなことはともかくとして、オッサレーな特別な雰囲気のあるゲームだなと触れる前は感じていたけど、触れてみたら意外にも王道を突っ走っていた。流れは少女漫画を読んでいるようだった。自分は乙女ゲーは少女漫画の延長線上にあると考えているので違和感は全く無かったんだけど、華アワセはもっと独特の雰囲気を持ったゲームだと思っていたので。主人公と言う特別な存在、入学後すぐに儀式でクラス決め、イケメンに注目されモブの女生徒たちにイジメられる……などなど。あともっと暗くてシリアスかと思っていたらそうでもなかった。暗くはあるんだけど、暗すぎないというか。
でも所々に華アワセらしい味がある。特に後半はズブズブになっていく所も面白く見れた。あと各所で言われているとおり性的なことにそこそこオープンだった。挿れてないからセーフ理論だったけど、描写としてはペッティング程度だった。発売当時の一般ゲーでのセックス許すまじだった自分なら気になっていただろうけど、でも性的な要素もちゃんとした話の主軸にされていたので今の自分はあまり気にはならなかったし、蛟辺りが性欲を持て余してるところを見たのは大変愉快だった。笑ってごめんよ蛟。
安直なエロ描写ではなく、処女を失ったら水妹としての資格も失う場合があるってことなので、敢えてそこを設定に埋め込んだのは上手いなと。エロ描写って言うよりは危機的状況で使われることが多かったので、設定的な意味合いのほうが強い印象だった。
スカートは捲られるし、おそらくいろは以外の全員におっぱい揉まれてた気が。でもみこと君のおっぱいは本当にでかいので揉みたくなる男性陣の気持ちはわからなくはない。あと乙女ゲーで女性のおっぱいがでかいことを強調されたゲームはなかなか見ないのでそういう意味では新鮮だったかもしれない。

シナリオが重厚というわけではないけれど、上手くポイントを抑えていて惹かれていく様子は短いながらも納得は出来た。これも主人公の誘い水という周りの男性陣を引き寄せる設定の一つではあるんだけど、それでなくとも、華園という特殊な環境に置かれた普通の感覚を持った主人公に男性陣が興味を惹かれたり癒やされたりするのは理解できる。そんな普通な主人公が特別な設定がわんさか詰め込まれていてもなんとか進んでいこうとする様子も素直に応援できた。
粗を探せばあるんだろうし、欲を言えば描写は足りないんだけど、1400円+税でここまで遊べるのはとてもお得。蛟編とついているけども、蛟以外のルートも色濃く描写されていてすぐに終わってしまうような簡単なBADENDに走らない所も好印象だった。そしてそんな破滅に向かっていく様子を楽しく眺めることが出来た。何より華遷というゲーム部分もしっかり作ってあって、単なるADVではないところが良かった。自分はADVは余りゲームだと思っていない人間なので、そういう意味で華アワセはしっかりゲームの部分もありADVでもあり乙女ゲーでもありムック本でもあるっていうお得過ぎる、とても根気の入ったゲーム。
分割商法でありながらも、それに甘んじない作りで『蛟編』だけでも一つの完成された作品だったことに非常に好印象を受けた。そしてそんな私にいろは最萌という現状が胸に突き刺さっている。発売当初よりいろは最萌の方の心中を大変お察ししたい。


・システムについて
花札を使った華遷というゲームはトランプのポーカーに近い……ような気がする。私は序盤、何故か自分が捨てた札は相手に取られる可能性があるって勝手に思っていたんだけどそんなことはなかった。脳内でこいこいと混ざってるし麻雀も混ざってた。こいこいと違って山札は敵味方別でした。あと菖蒲札に思いっきりビズログって入ってるのは滅茶苦茶笑った。
役は華アワセオリジナルの役もあるしこいこいの役もあったので、こいこいに慣れ親しんだ人なら少々有利に進められるかもしれない。私はこいこいが大好きなので猪鹿蝶が出来た時はとても嬉しかった。でも終盤にならないと手に入らない札があるので、こいこい好きとしては出したかった役が出せなくてちょっと残念。
華遷のゲームシステムはレベル上げ要素もあるしゲームとしても楽しいし、バグもなく、とても楽しく遊べた。花札も好きだしカードゲーム好きだしレベル上げも好きな自分はいろはに1ターンキルかまして高笑いしてました。
ちなみに普通のADV部分の機能も問題なし。欲を言えば選択肢が多いのでジャンプ機能が欲しかった。でもここまで遊べたなら不満は一切ない。

・グラフィックについて
枚数はかなり多く、気合が入っていた。攻略対象が出てこないスチルもたくさん出てきて、まさか主人公が女の子に殴られてるシーンがスチルで出て来るとは思わなかった。立ち絵と別人になってることも多かったけど、骨格等が崩れてるわけではないので自分はあまり気にならなかった。あと自分は由良氏の絵が好きなので見れて嬉しかったが、個性的な絵柄なので気になる人は気になるだろうなと。
ちなみにハイパーおしゃれなOPがすごく好きで、毎回飛ばさずに見ていた。


以下よりキャラ感想。蛟編で何故他のルートもあるのかと思ったら、蛟以外は全部横恋慕ルートで爽快感を感じるぐらい清々しい。到底叶わない人を思い続ける登場人物たちの苦悩は涎がダバダバ出るほど美味しかった。

・蛟
蛟編のパッケージがアダルトっぽいから、唐紅みたいな性格だと勝手に思っていたんだけど真反対だった。とても堅物だった。
堅物で抑圧された人間が恋を知り愛を知り、己の欲望と苦悩するシーンは何度と無く見てきたので新鮮さはないけど、長くないこの作品でちゃんと心の機微に納得が出来る描写だったのは嬉しかった。正し蛟家の謎については余り惹かれなかったし、後半ルートに入って謎がバレても余り興味をそそられなかった。多分、苦悩している蛟の様子を眺めているだけで満足してしまったし、後半になって唐突に蛟の謎に突入していくのにちょっとついて行けなかったんだろうと。突拍子もなさを感じるほどでも無かったのだけど、蛟がハアハア言ってるところがそれ以上に面白すぎた。それと、明らかに危険だと分かっているのにガバガバセキュリティの学園についても白けてしまった。というわけで登場人物たちの苦悩のほうが楽しかった。
ちなみに眼帯についての設定は私が望月姓なせいか、望月望月言われまくってそっちが気になって余りシナリオに身が入らない悲しき事態に。ただ、『ツキの半身』が蛟ルートでも上手く使われていたのは感心した。今回のツキの半身はまごうこと無く蛟だった。
あ、一番のハアハアシーンであろう、足を舐め舐めするシーンは、挿れられない性欲を抑えるためにこんな変化球を投げてくるのか……と、ただただ笑った。大丈夫か蛟、とりあえず落ち着け深呼吸しろ。多分知識としては知ってるんだろうけど、全くそういうことに興味も無く過ごしてきたのに、主人公の存在+誘い水というおまけつきに、蛟家の血の設定も合わさって、箍がぶっ壊れてしまったのかな。でもどうしたらいいかわからずに足を舐め舐めしたのかもしれない。蛟さんそりゃもう前戯ですやん、と思いながら見ていたけど蛟に全くそういう意識が無く、正当な理由で行われている行為だと思いこんでいる所も可愛らし…いか?
ちなみに蛟が一人ベッドの上で主人公を思い悶えているシーンは、あーついに自慰に到達したかーと思いながら見ていたら(片手が下腹部に行ってるっぽいし)、差分で両手で目を覆いだして「自家発電した後に!?」とアレが自慰シーンだったのか気になって気になって夜もよく眠れる。


・姫空木
ヤンデレは嫌いじゃないしむしろ好きな方なんだけど、姫空木はあんまり引っかからなかった。描写が軽すぎるというわけでもないけれど、おそらく姫空木が主人公に惹かれる過程が描かれて居なかったからだろう。ルートに入る頃には既に姫空木は主人公に惹かれていて、そこから主人公の一挙手一投足に一喜一憂する姿が物悲しくはあったけれど。主人公が蛟を思っているのを知っていながら、蛟が存在しない思い出を作ろうとする姫空木は不憫。そしてその思い出の場所に蛟を連れてくるラストがあるのが痛々しくてとっても良かった。あそこで絶望する姫空木の激情は胸に響いた。眠っている主人公にキスをする姫空木では主人公は目覚めず、蛟のキスで目覚めるのも対比が皮肉。でも一番胸に響いたのは、ルートに入る時に主人公が無意識で消去法で姫空木を選ぶのを「うまい消去法だ」って皮肉めいて笑うのがグッサリ来た。主人公に全く悪気が無いところも合わさって綺麗にスッパリ切られた傷口のよう。とても滲みる。
あと名前の通り、姫と自分では思っていたみたいだけど、そんな姫って感じはしなかった。でも病んで主人公を人形みたいにしたのは、お姫様のお人形ごっこのようで奇妙さがしっくり来たし、姫だからこそキスで主人公は目覚めない。


・唐紅
華アワセを過激にした半分ぐらいは唐紅パイセンのおかげです。
でも処女だのなんだの言っておきながら、唐紅は前戯だけで水妹の条件を喪失させたことは無いっぽいのでその辺のルールはちゃんと守ってる。唐紅のような奴が遊びでも毎回挿れずに済ませてるってかなり強靭な精神をお持ちなのでは?まあ水妹じゃない人で挿れてるんだろうが。でも無法地帯な用に見えてヤリたい放題でないのはちゃんと理性が効いている証拠。そんで主人公の事を本気で好きになってしまう過程も感情移入出来たし、そんな主人公に「突っ込みてえ!」っていう愛の告白は笑ったと同時にこれほど唐紅らしい告白はないなと思えて一気に好きになってしまった。意思も、行動もハッキリしているし、パイセンが居なくちゃ蛟と主人公が近づくのはもっと時間が掛かったと思うので、二人はもっと唐紅に感謝……はしなくてもいいか。
主人公の蛟への思いが変わらずに、はっきりとした対応を取ったことで唐紅が本気になってしまって拗れて行く。主人公が汚されてしまうと思った蛟が病んでいくのも良かったけど、もう蛟が元に戻れないと悟った唐紅が、おそらく蛟の残っているか残っていないかわからない理性に対して「男見せろよ、蛟…」と全く茶化さずに喧嘩を売るのが無茶苦茶ぐっと来た。それまで『童貞』だの『蛟だってブチ込みたくてうずうずだ』とか煽ってたのに、ここでガチンコ勝負を仕掛けるところが格好いいと評さざるをえない。
あと唐紅は水妹と遊んでは居たけども、ある程度の信頼関係は保っていたんだろうなと。最後に蛟側についたところで唐紅の側にたくさんの水妹が倒れているスチルは強烈な印象に残った。だらしがないけど割り切っている良い関係性だったんだろう。命を賭して唐紅を支えたいと思えるほどの。唐紅の力に耐えられる水妹が居ないから複数の水妹が交代で担当しているとのことだったけども、その水妹達が唐紅の危機的状況を心から支えようと思ったんだろうなと、歪なようで居てどこまでも真っ直ぐな唐紅だった。あっぱれ。


・いろは
プレイ前の華アワセの知識では、なんか完結編だけ長い間出てないみたいっていうぼんやりとした意識でいたのに、その出てない人が最萌になってしまうとは思いもしませんでした。はい。助けてくれ公式さん、いろはと望月(私)を救ってくれ。
いろはは感情表現が乏しいから、ちょっと出る程度の感情が濃密で濃厚なように感じられる。甘いものが好きっていう設定も小刻みに上手く使われていて非常に萌えた。無機質なように感じられる中で、時折感じる人間臭さが可愛らしい。やはり乙女ゲーはギャップ萌えの旨味が半端ないなと思えたキャラクターでもあった。ラストで主人公があげたりんごチップスをちまちま食べていたっていうのが明かされるところで私は倒れた。
でも感情が乏しいようでいて、だからこそ分かりやすい。ちょっとの変化に気づきやすい。蛟が敵側だと断定するのも主人公を思っているのもあるけど、嫉妬から来てるのがまた美味しい。そこで蛟が自分が死んでも主人公への思いは消せないと断言することで、結局いろはも『蛟編』というこの世界に敗北する。立場的には有利なのに、負けた悔しさで当たり散らすかのように蛟を殴る蹴るの暴行するのがいろはの敗北感が強烈で良かった。これは先生も指摘していたけれど。
ループしてるっぽいし無意識下で主人公を思っているっぽいし、謎が多いけれど、おそらく主人公のことを一番に考えているんだろうなと察せられるので……何より主人公を一番に考えているキャラに私は猛烈に弱い。主人公が地球の中心だと思っている人間に弱い。
自分を選ばないと悟っていてそれでも一時の選択でも自分を選んでくれた嬉しさに気付いているのか、居ないのか。ラストでいろはの歪みから追い詰められて、そのことに全く気づかなかったところを見るに、無意識的に選択していたのだろうか。どうしようもなくなって主人公にも死を強要するのがそれでも自分を選んで欲しいといういろはの不器用な願いのように感じられた。そんで感情の乏しかったいろはが泣きながら自分だけ死を迎えるのが、それがまた、いろはの主人公への思いを感じられるようで悲しいけれどとても心地が良かった。

いろは「望月が血を流している。これは、もっとも選んではいけない運命だった。だが、もう…止めることは出来ない」

私のことか?


・百歳
中の人の若干無理したカマ演技が途中から心地よくなってしまった。私は若い女性のビジュアルに男の声が流れるのが好きみたいだ。男性声優を起用したのは理由があるんでしょうが。なんとなく本気で主人公のこと好きっぽいけど、最後までサポート役に回っていたのは好印象だった。


・斧定九郎
実は敵側に100万ペソ。それはそうと白パンツってそんなにおこちゃまなんだろうか、パンツは色じゃない形だ。先生は全然わかってない。
あと今回花札を調べてて知ったんだけど柳に蛙の札の人は斧定九郎っていう歌舞伎に登場する人だったこともあったと知って感心した。名字があるのもそういうことだったのかと。


・みこと(主人公)
意志が弱いように見えて強い。だが乙女ゲー主人公らしく鈍感で、その鈍感さが周りを歪ませていたのは不運。鈍感なだけでこんなに人が歪むのは彼女だけのせいでもないような気がする。
頑張ろうと努力する様子は見られたし、自分の弱さを改める意志の強さも持っていた。そしてなにより最後まで蛟を思い続けて、ハッキリとした対応を取る。しかしどうしても周りごと歪んでいく。泉姫としての素質、誘い水、いろんな要素が重なって周りを巻き込んでしまうのが不運だったとしか。あと色んな人におっぱい勝手に揉まれたり股に手突っ込まれそうになったりしてそういう意味でも可哀想だった。女の子にはもっと優しくしなさい君たち。


洗脳や催眠描写もあったけど大体叩けば治ってたのは笑った。そんな感じでご都合主義的な展開もあったのだけど、そこで不満を感じることは殆どなかった。微々たるもんだったからだと。あと一人の女の子に狂わされていく男たちの物語って感じがしてよかった。これの主人公はもしかして男性陣のほうなのでは。
前述したけど、エロは危惧してたほどエロくはなかった。挿れてないからダイジョーブだって唐紅パイセンも言ってた。あと男性陣のほうが喘いでた気がする色んな意味で。

終盤怒涛の『望月』単語ラッシュに、望月姓としてはドギマギしっぱなしだった。作中では満月という意味で使われるけど、そういう時は自分は『ぼうげつ』って読むようにしていたんだけど、音声ではしっかり『もちづき』と呼ばれるから呼ばれる度に自分を呼ばれてるようなでも美味しいような、不思議な心地だったという、どうでも良い話でした。ちなみにもちろん本名じゃないですが、由来はモチカリこと望月花梨先生。

これは完全な余談だけど、自分はカードゲームやボードゲームが大好きな人間なので、プレイ中どうしてもこいこいがやりたくなって無料のアプリ落とした後に、麻雀もやりたくなってアプリを落とし、今はポーカーがやりたくなって居る。そのうちソリティアとかやりだしそう。あとガネクレFDのペグソリティアで本編そっちのけでカンストするぐらい遊び倒してたのを思い出した。
花札はこいこいのルールが好きなのもあるのだけど、それ以上に花札の絵柄が完成されすぎたデザインで大好き。雷札(と勝手に私が呼んでいる)が柳で取れることを知った時のあの衝撃。幼心に「柳要素が何処にもない」と思ったのを思い出したけど、今になってアレがカス札と知って二度目の衝撃を受けている。全然カスっぽくないんですが……。